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火曜日, 4月 30, 2024

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FPTジャパンホールディングス株式会社|グローバルカンパニーならではのチームビルディングを実践

ベトナムを中心に、日本における顧客のDXを加速させるソリューションをEnd to Endで展開するFPTジャパンホールディングス。Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング大規模部門において、ベストカンパニー11位、同部門 女性ランキング4位にもランクインされています。

世界で30の国と地域、83拠点に展開しているFPTソフトウェアの日本法人にて、多様性のある人材をどのように生かし、連携した組織づくりを実現しているか、FPTジャパンホールディングス 執行役員 Trinh Van Thao(チン・バン・タオ) 様にお話しいただきました。

Q.貴社の沿革と事業内容について教えてください。

チン・バン・タオ様(以下:タオ様):当社はベトナムICTのリーディングカンパニーである、FPTコーポレーションを母体としています。現在FPTコーポレーションは約7万人の従業員が在籍し、昨年設立35周年を迎えました。ベトナムにおいて長い歴史と大きな規模を誇っています。

事業内容は主にテクノロジー開発、ソフトウェア開発、システムインテグレーションなどをはじめ、日本のNTTのようなテレコム事業も展開しています。また、デジタル人材育成のための学校設立などの教育事業にも携わっており、分野を越えて幅広く事業を展開しています。

2005年、ソフトウェア開発事業であるFPTソフトウェアを日本に進出させることとなり、「FPTジャパン」を設立しました。当初はほぼベトナム人スタッフでしたが、日本進出においては日本文化を理解し、日本語を使ってお客様に対応しサービス提供することを基本方針としました。

今では日本国内で約3,500人の従業員を抱え、北海道から沖縄までの17拠点を構えることができるようになりました。

Q.そもそも日本進出のきっかけは何だったのでしょうか?

タオ様:1988年にベトナムのFPTを設立したときに、「テクノロジーで社会貢献をしたい」「人を幸せにしたい」という思いがありました。ただ、当時はベトナム戦争が終焉を迎えて間もない頃で、ベトナム国内でITに着目する企業は少なく、ソフトウェア開発の市場ニーズもまだ低かったのです。

そこで視点を海外に見据え、国外へソフトウェア開発事業を輸出することにしました。

ただ、そう簡単にうまくはいかず、まずソフトウェアの先進国であったインドへアプローチしましたが失敗し、次に米国のシリコンバレーにも乗り出しましたが失敗。しかしそんな中で、ベトナムへ投資を行っている日本人と知り合ったのも1つのきっかけで、日本への関心が高まりました。

実際に当社のチュオン・ザー・ビン会長が日本を訪れたところ、「ビジネスパートナーとして日本人とベトナム人の性格は非常にマッチするのでは」と可能性を見出したのがきっかけです。

Q.日本で事業展開する上で、課題や苦労されたことはありましたか?

タオ様:意気揚々と日本進出を決めたものの、やはり日本語は難しく少々苦労しました。

現在所属している約3,500人の従業員は日本語をほぼ問題なく話しますが、日本進出当初は満足に話せるスタッフは少なかったです。そのため、お客様に対するプレゼンを英語で行うこともあり、お客様からは「プレゼン内容はよかったが日本語を勉強してほしい」と言われてしまうこともありました。

そこで日本語で仕事ができる仕組みづくりとして、コミュニケーターを導入しました。彼らが日本人のお客様とベトナム人の技術者との繋ぎ役をするのです。また、日本語教育プログラムを充実させ、独自の日本語学校も設立し、すべての従業員が日本語を話せるように教育していきました。

さらに、ベトナムにも日本語教育システムを充実させ、日本に来る前からある程度の日本語を話せるよう、スキルアップを図っていきました。

ただ、語学力を磨いても、日本は製品やサービスに求められる品質意識は他国より高く、日本人が満足する高品質なものを維持・提供することにも苦労しました。それでも日本ならではのソフトウェア開発プロセスを日本企業の中に駐在してお客様の求めるものに応えていくことで、徐々に乗り越えることができるようになりました。

Q.多国籍の従業員が働く中で、工夫点や制度等があれば教えてください。

タオ様:現在、日本のオフィスには22国籍の従業員がおり、そのうち約7割がベトナム人です。日本人の数も徐々に増えてはいますが、やはり多国籍企業ならではの文化や習慣、考え方のギャップは少なからずあります。

日本進出当初はベトナム発の企業ということもあり、日本人メンバーもベトナム式に合わせなければならない面が多くあり、大変だったのではないかと思います。

そこで、多国籍における相互理解のため、入社1年目には「こうしたとき、ベトナム人ならこういう考えをする」というような異文化教育の実施や、ベトナム語を学習するクラスも開設しました。言葉を理解することが相手を理解する大きなきっかけになると考えておりますので、言葉から慣習などを学び、仕事へ生かせるように努めています。

ただ、お客様を通したビジネスの場では、あくまで日本語が第一言語であり、次に必要に応じて英語が第二言語となります。会社においてベトナム語は正式言語ではないことを徹底しています。

さらに、ベトナム人が多い中でも働きやすい職場とするために、ベトナムへの1週間研修を実施しています。そこで本社ベトナムでの職場を見て頂き、現地メンバーがどのような考え方・スタイルで仕事をしているか、理解を深める機会を設けています。事前に互いを知っておけば、日本とベトナムが連携してソフトウェア開発を進めることができるでしょう。

Q.採用や人材育成で意識していることはありますか?

タオ様:当社のコアバリューの一つである「チャレンジ精神」が、採用における大きな要素になります。常に新しい仕事に意欲的で、国を越え、環境が変わる中でも自分の目標実現のために学習意欲を高く持つことがポイントになります。

特に日本では前年比30%の成長目標を掲げており、それを実現するため社内の組織体制などは、常に変化し続けています。その成長スピードに対応できることも条件の一つになるでしょう。

ただ、そうしたチャレンジ精神を持っていてもうまくいかないこともあります。例えばベトナムから日本へ来て、色々やってみたが生活文化が合わず「帰りたい」という従業員もいます。家族と離れた寂しさや、ベトナムにはない日本の寒い気候、また最近では円安なども賃金に影響するため、業務へのモチベーションが下がる原因となっています。

そうしたとき、当社は30カ国にオフィスがあるため、他国への配置転換も可能です。また、ベトナムに帰国したとしても、顧客は日本が多いので学んだ経験を生かすこともできます。そうした従業員は例年少なからずおり、今後も柔軟に対応し、活躍できる場を提供していきたいと思います。

当社の人材育成への取り組みは他社と比べても積極的であり、ベトナム本社ではハノイ、ダナン、ホーチミン、カントー、クイニョンの5カ所にキャンパスを持つFPT大学を2006年に設立しました。

また、新入社員に対して教育を行う組織である「フレッシャーズアカデミー」を設立し、毎年、採用した数千人の新入社員に参加してもらっています。さらに、仕事の中で勉強ができるトレーニングプラットフォームをオンラインで実施しています。

Q.リーダー育成についてはいかかでしょう?

タオ様:リーダー候補には「チーム運営プログラム」への参加を義務化しています。当社は学ぶことも重要かつ「勉強も一つの能力」と考えています。

また、グローバルに活躍できる人材を育成する方針であるため、リーダー研修の一環としてベトナムだけではなく、国を超えて働く場所を変えていくジョブローテーションも必須になっています。それにより、どの国でも通用するリーダーシップを養っていくのです。

さらにリーダー候補者には「Next Generation」というトレーニングクラスにも参加頂き、FPT大学と連携し、独自のMiniMBAも取得します。これらはリーダーになる前に行うもので、リーダーとしてのスキルや意識を高めるために会社は全力でサポートし、その教育体系を構築しています。

Q.グローバル企業として、いかに「働きがい」を追求されているのでしょうか?

タオ様:そもそも当社はフラットな組織であるため、リーダーではなくてもやりたいことを提案できる風土があり、チャレンジできる機会は多いです。そうした働きがいのある環境を実現するうえで重要と考える、以下3つの価値観を掲げています。

1.「Challenging」従業員には、能力、スキル、リーダーシップを発揮し、昇進できる機会を提供します。
ポジションのローテーションや自主的な自己開発学習プログラムを通じて、イノベーションを提案し、挑戦することの勇気と忍耐力を身に着けることを支援します。

2.「Fun」多彩な社内のイベントを行い、 22カ国の異なる出身国と文化で構成される多様性に富んだ人材間の絆を育み、モチベーションの向上を支援します。

3.「Care」従業員、またそのご家族も大切にし、健康と教育を支援します。

当社のように多国籍で規模が大きくなるにつれ、従業員間のコミュニケーションは希薄になり、働きがいも見出しにくくなりがちですが、これら3つを実践することで、当社では従業員の会社への帰属意識は高まり、連携体制もより強くなっています。

とくに「Fun」は従業員からも好評で、各拠点に分けた社員旅行や、年1回の総まとめ会、ほかにサッカーやバトミントンの大会、将棋大会なども開催しており、これらを実施するためのイベント部署も設けました。また各部署に予算を立てて、それぞれ花見など自由にイベントを行えるようにもしています。

その他にも「My FPT」という従業員を支援するプラットフォームを設け、新入社員のサポートやメンバー同士で情報交換をするなど、コミュニケーションの場づくりも行っています。

また表彰制度の一環で社内通貨「ゴールド」を導入しました。これはマネジャーにある程度の権限を持たせ、業務で“いいこと”をしたらゴールドを渡して換金できるものです。

マネジャーではなくてもチーム間でいいことをしたメンバーがいたら自分のゴールドを渡したり、またはマネジャーに他のメンバーを推薦してゴールドを与えたりすることで、社内で「承認の文化」も醸成されるようになりました。

今後もこうしたネットワークを介したコミュニティの構築や、イベント等によるコミュニケーションの機会を増やし、グローバルカンパニーならではの、より強固な組織づくりを目指したいと思います。

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