常に変化し続ける環境の中で、「安全地帯」というものは存在しません。グエン・ティ・リンさんにとって、「慣れ親しんだ場所」から離れ、まったく新しい役割に挑戦することは、単なるキャリアチェンジではなく、「取り残されないよう、絶えず成長し続ける」という自分自身への誓いでもありました。
2020年、FSOFTで財務担当者としてキャリアをスタートさせたリンさんは、業務を一歩ずつ着実に身に付けてきました。2年後、FPT China(FCN)に移った彼女は、慣れ親しんだ業務を離れ、アジアでも最も競争が激しい市場の一つである中国で、営業分野に挑戦することを決意します。

FCNでは、財務関連の仕事は多岐にわたります。リンさんは会計業務、予算管理、社内オペレーションの処理、定期報告など、あらゆるタスクに積極的に取り組みました。彼女にとって大切なのは、仕事の大小ではなく、その取り組み方──丁寧さ、誠実な態度、そして責任感が大切だったのです。
「人生の流れに押し流されて」-FSOFTのGRM戦略のもと再構築された海外拠点であるFCNで、リンさんは予想外の転機を迎えます。財務担当者から、中国市場の営業サポートに抜擢されたのです。当初はサポートだけでしたが、仕事を重ねるうちにトレーニングを受け、顧客とも多く接するようになりました。毎回の会議、複数言語でやり取りされる提案書が、彼女の好奇心を刺激し、その挑戦を本気で乗り越えたいと思わせました。
2022年末、組織が再編される際、リンさんは二つの選択肢の間に立たされました。一つは長年親しみ、プロセスやデータも把握し、自信を持ってこなせる仕事。もう一つは、まったく新しい市場、未知のスキル、どこから手をつければよいか分からないほどの多くのチャレンジ。しかし彼女は「安全地帯」から一歩踏み出すことを選びました。それは自分が優れているからではなく、立ち止まれば取り残されてしまうと信じていたからです。
中国市場は広大で可能性に満ちている-方、非常に厳しい競争の場でもあります。顧客一人ひとりが「キャンペーン」であり、一つひとつの会議が試練の場です。中国国内のお客様だけでなく、グローバルなクライアントとも関わることができ、さまざまなターゲットグループにチャレンジしながら、厳しい競争とプレッシャーの中で自分を試すことができました。
疲れを感じるとき、リンさんは毎日メールやWeChatでやり取りしているお客様のことを思い出します。彼らの信頼こそが、彼女が歩みを止めない理由なのです。
リンさんにとってキャリアの転換は大げさに語ることではなく、経験し、成長するための旅でした。彼女がすべてを経て実感した最も貴重なことは、絶え間なく変化する世界の中で、若さとは、流れに逆らって泳ぐ魚のようであるべきだということ。前に進まなければ押し戻されてしまいます。「安全地帯」という概念は存在せず、生き残るための鍵は、自ら進化し、どんな変化にも適応することなのです。
仕事以外にも、リンさんはアニメ鑑賞やテニスなどの趣味を通じてバランスを保っています。これが彼女の心身をしなやかに保つ秘訣であり、仕事と生活の絶え間ない流れの中で、「逆流を泳ぐ魚」のように、しなやかさと力強さを併せ持って歩み続ける術なのです。