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木曜日, 5月 29, 2025

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EQの旅:立ち止まり、呼吸し、理解することで、より優しく生きる

FJPが日本全国で展開した「EQ(感情知能)」に関する特別なワークショップシリーズが完了しました。このプログラムは、一人ひとりが自分の内面を深く見つめ、感情を理解し、多文化環境の中でより良いコミュニケーションと協働のあり方を探る旅の始まりです。

今回の講師は、ズオン・クアン・ミン先生。10日間にわたり、9拠点を巡り、200人以上のFJP社員と対話を重ね、「9回のグループセッションと50回以上の個別カウンセリングを実施しました。感情や心の課題に寄り添いながら、一人ひとりの変化を導いてくれました。

ミン先生によれば、EQは「うまくやる」ためのスキルではなく、「自分の感情に正直であること」から始まる生き方そのものです。ただし、その感情に振り回されず、行動を意識的に選ぶことが重要です。

FJPの社員たちは、教科書的な知識としてではなく、先生のユーモアと温かさを通じてEQを体感しました。毎回のセッションは「呼吸」から始まります。これは形式的な瞑想ではなく、「立ち止まる」ための呼吸です。誰かに傷つけられても、怒りに任せて叫ぶのではなく、モヤモヤを抱えても、すぐにその場を去るのではなく。ただ、呼吸をし、観察し、別の行動を選ぶ。そこにEQの第一歩があります。

ある時、ミン先生はこう話しました。「たった10秒立ち止まることで、対立を防げる場面がある。練習すれば、10秒が5秒に、やがては1回の呼吸に変わっていく。」これは感情を抑えることではなく、感情を「見る」ことで、自らの意志で誰も傷つけない選択ができるようになるのです。

感情は出来事そのものから生まれるのではなく、それに対する「解釈」から生まれます。出来事は一つでも、感情は人それぞれ。だからこそ、EQが高い人とは「自分の考え方」を見直せる人。そして、それができるのは、自分の内側と丁寧に向き合う時間を持てた人です。

ミン先生は、「行動をコントロールすること」と「感情をコントロールすること」の違いについても明確に説明しました。前者は、怒鳴ったりしないで済む状態。でも内側では怒りが渦巻いている。後者は、怒りの根源を理解し、感情そのものが自分の人生のハンドルを握らなくなる状態です。

ワークショップでは、脳の構造にも触れました。本能的な脳(辺縁系)と理性的な脳(前頭前野)の関係。感情が高ぶると、本能の脳が優位になり、理性が働かなくなります。そんなとき、呼吸が「スイッチ」となり、再び理性の脳に戻って、より優しく、賢い行動が選べるようになるのです。

参加者の中には、「初めて感情のメカニズムが腑に落ちた」と語る人も多くいました。「なぜイライラするのか」「なぜ傷つくのか」、その仕組みを理解することで、無意識の反応から抜け出すヒントを得たのです。

みんなで呼吸を観察し、腹の動きを感じ、一呼吸の力を実感しました。そのたった一呼吸が、取り返しのつかない行動を防いでくれることもあるのです。ストレス時でも冷静でいられ、「自分にも、相手にもメリットのある対応」が見えるようになった人もいます。「脳の仕組みを知っただけで、感情の扱い方が現実的なものになった」という声もありました。「無意識に呼吸する」のではなく、「意識して呼吸する」ことで、必要な瞬間に自分自身を取り戻せるようになったという実感が多く語られました。

最終的に、EQとはスキルではなく、生きる姿勢です。EQを持つ人とは、自分に正直でありながら、感情に飲まれず、大切なものを壊さない選択ができる人。悲しんでもいい、怒ってもいい。でも、その感情を人にぶつけるのではなく、きちんと扱える人。そんな人こそ、人を引き寄せる魅力を持つ存在です。

この10日間で、9拠点、何百人との出会いの中で、ミン先生は「EQを教える」のではなく、「EQを生きて」いました。「玄関のノコギリの話」「毎日300km走る車の話」「色を間違えたケーキの話」など、どれも身近でリアルなストーリー。でも、その一つひとつの瞬間に、立ち止まれば、より良い選択ができる——そんなことを思い出させてくれる時間でした。

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